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あいちトリエンナーレ2016を記憶する Vol.4 児玉 真伍さん

何でもやってみよう!

Mikawa Art Center[MAC]主宰。そして、地元の蒲郡から会場コーディネーターとして参加。何でもやってみよう!を実践してる頼もしき若者です!

あいちトリエンナーレには、以下のような連携事業の募集があり、採択されると補助金が出ます。児玉君は独自企画にて応募していました。やりたい事があれば、市民として積極的に参加する、一歩踏み出してみる。この行動力にご注目!!

市民団体等による「あいちトリエンナーレ2016」連携事業

「文化芸術の日常生活への浸透」及び「地域の魅力の向上」を図るために市民団体等が企画・運営する「市民団体等によるあいちトリエンナーレ2016連携事業」の募集があり、14団体15プログラムが採択されました。

Mikawa Art Center(児玉真伍 主宰)は、「豊橋・岡崎会場周辺チラシ作成事業」「岡崎・豊橋会場バスツアー」の2プログラムが選定されました。

Mikawa Art Center[MAC]

[MAC]とは「M」と「A」と「C」を頭文字にもてば、だれでも作れるアートセンターで、山口県のMaemachi Art Centerや青森県のMidori Art Centerなど、全国に点在しています。

Mikawa Art Center[MAC]は蒲郡を中心に活動をする、拠点のないアートセンター。愛知県初のMACとして、日常を楽しくしていくための創造活動を行っています。

連携事業その1/豊橋・岡崎会場周辺チラシ作成事業

Q. >正式名称は「あいちトリエンナーレ2016 三河まっぷ キャラヴァンサライができるまで」なのですが、長いので略して「三河まっぷ」ね。豊橋会場と岡崎会場をクローズアップしたB版4つ折のマップです。これについて語っていただきましょう!
児玉 >「あいちトリエンナーレ2013」の時に、アーティストの作品制作ボランティアをしました。その時にアートと街のかかわりに興味を持ちました。いろいろある内で、例えば、街に滞在したアーティストさんが実はこんな所でランチを食べていたとか、ホームセンターでこんな道具を買った。のようなちょっとした事を話題にしたら面白いんじゃないか。作品作りのプロセスのような創造的な事もあるだろうし、日常的な事もありますよね。アートを身近に感じるキッカケになれば面白いかなと。

マップありきではなくて、アーティストさんの滞在日記のような読み物を作る。それが主です。マップにしたのは、やはり手に取りやすいだろうと思ったからですね。あと、名古屋についてはガイドブックも充実してます。だから、名古屋以外のエリアも面白いとアピールしたかった。もっと三河エリアの楽しさを伝えたいと思ったのです。

Q. >なるほど。確かにマップという体裁は手に取って貰いやすかったです。技あり1本!そして、アーティストさんに取材して記事にする事が前提なので、会期がスタートする頃は、まだ作っている最中。配布時期が、スタートより遅れるのは想定内という事ですね。
児玉 >3年前の経験で、会期がそこそこ長く、その間にイベントがあったりして会場の様子や観客数などが変化してゆくことを実感したんです。初めの頃と終わり頃で進化した情報があっても良いと思ったし、読んで貰いたい情報を収集する事を重視しました。

表面はマップと会場案内、裏面には以下のアーティストさんのインタビューと作品作りのプロセスをイラスト&写真で掲載

豊橋会場:岡部 昌生、久門 剛史、リビジウンガ・カルドーゾ(別名:レアンドロ・ネレフ)
岡崎会場:二藤 建人、野村 在、シュレヤス・カルレ

上記サイトからPDFがダウンロード出来ます。

Q. >3年前の経験値あればこそのトライですね。技あり2本目!発行日はいつごろで、何部刷りましたか?みずのうえビジターセンターには常設してましたが、多くの方に手に取っていただきました。後半は足りなくなりそうだったので、温存しつつ配布していました。
児玉 >9月14日発行で、7,000部刷りました。思ったより捌けたという感触です。手渡しした感じも良好と思ってるんですが、SNSではあまり感想が見られなかったですね。
Q. >アーティストさんのイラストは好評でしたよ!苦労したのはどんな所でしょう?
児玉 >制作過程を載せてほしくない作家さんもいらっしゃるので、そのあたりは充分な配慮をしたつもりです。僕らが現場を載せる事で作品のイメージが正しく伝わらないような事になると、本末転倒だと思ったので。

取材そのものは皆さん快く引き受けてくださり、とても熱心にお話しいただきました。文字数の関係で全部は載せられず、情報の取捨選択には大変苦労しました。

今回、デザインを愛知大学文学部メディア芸術専攻の学生にお願いしました。思わず手に取りたくなるようなMapにしたいと、皆で試行錯誤を繰り返しました。デザインの微調整や校正などなどで、気づいたら予定よりもだいぶ発行が遅れてしまいました。

岡崎会場でのエピソード

シュレヤス・カルレさんの缶バッジはご存じでしょうか?

これです。何種類あるのよ!というくらい色違いが出たのですが、どれも大人気だった。岡崎会場のボランティアさんもガンガンやってきて、この缶バッジを狙う狙う。それがあまりのインパクトだったので、岡崎へ行ったら表屋を詣でるのはマストだと気合い入れてました。愛されてる会場に違いないでしょ!

10月に入ってから、やっと岡崎会場へ行くことが出来ました。ワクワクしながら、シュレヤス・カルレさんの作品鑑賞に表屋さんへ。おお!これがあのうんち人形ですね。「三河まっぷ」の小ネタ参照、岡崎城の方向を向いてる〜〜とご満悦。(ちゃんと予習してます>児玉君)

でね、ボランティアさんと雑談。この作品が「○番です」と、とても詳しくて熱心なのです。だから「シュレヤスさんがインドにいる内に考えてたオブジェと、この場に来てから触発されたものと区別がつかなくて面白いね。」と私。そうしたら、「ちょ、ちょっと待っててください。面白い記事があるので持ってきます。」とボランティアさんが駆け出すじゃないですか。凄い勢いだよ、えっ!何事??

戻ってきて手渡されたのが「三河まっぷ」だったんですよ。うすうす、そうじゃないかと・・・。曰く「これ凄く良い記事なんです。始まった頃から欲しかった!!!」とビックリマーク三個分くらい張り切って言われちゃいました。やった!作ったのは豊橋のスタッフもやってる知人たちです!としっかり自慢してきましたよ。もちろん児玉君に、ご注進。嬉しいことはシェアしないとね!

康生会場 岡崎表屋 [O-03]シュレヤス・カルレ

連携事業その2/岡崎・豊橋会場バスツアー

Q. >正式名称は「キュレーターとゆく、あいちトリエンナーレ2016 三河の旅」です。またまた長いので、略して「三河の旅」ね。キュレーターの服部浩之さんと一緒に豊橋から出発して岡崎の会場をめぐり、豊橋へ戻ってくるバスツアーです。開催から1ヶ月経った9月11日に実施されました。

駅デザのニュースも参照してください。

児玉 >チラシ、Web、SNSにて告知し、20名が応募してくれました。今回のテーマが「創造する人間の旅」なので実際に会場間を旅するのが自然なことのように思い、企画しました。これも三河の面白さをアピールする事が狙いでした。テーマが旅であるわりに、本部側からの旅企画が無かったんです。ちょっと意外でした。

バス会社との交渉など、初めての経験も多かったし、全体的に準備不足だった。特に時間の調整ですね。時間が押した時の対応などは、皆さんに助けていただきました。今回の経験を次回に活かせたらと思ってます。

Q. >岡崎は一度に大勢さんで行くと大変な会場もありますよね?
児玉 >そうなんです。岡崎会場のアシスタント・キュレーターである石田さんには予めサポートをお願いしてました。石原邸や表屋さんは、一度に入れないので、二手にわかれて貰いました。同行の服部さんと、石田さんに手分けしてガイドをして貰ったんです。オカザえもんも出演してくれたんですが、服部さんに質問したりするんですよ。
Q. >えっ!筆談で?
児玉 >そう、筆談で。とても盛り上がりました!

オカザえもんは岡崎のアート広報大使ということなので、「岡崎会場の魅力は?」と尋ねてみました。すると「街全体が作品だと誤解する楽しみ」と答えるんですよ。なるほど、今回の岡崎会場は確かに会場間の距離が離れていたし、そんな楽しみ方もあったなと思いました。

あとは、服部さんとオカザえもんが増えゆく芸術祭について、真面目に対話していたのもすごく面白かったです。

Q. >豊橋に帰ってきてからの様子は垣間見るチャンスがあったのですが、ツアーの皆さんは楽しそうでしたよ。若い人が多かったかな、それは想定内ですか?「服部さんに聞いてみよう」のコーナーも熱気むんむんでした。
児玉 >有難うございます。若い方もたくさん参加してくれました。ツアーとして楽しむだけでなく、バスの中でも、みなさん熱心に服部さんのお話しを聞いていただきました。

引き続き、服部さんの案内で、PLAT、水上ビル、開発ビルを回りました。時間になったらトーク会場である「みずのうえビジターセンター」に集合。対談形式で「服部さんに聞いてみよう」を始めました。山口で始まったMACの活動などを具体的に紹介してくれて、楽しかったです。

実感・経験・今後

Q. >スタッフとして、開発ビルでは定期的にガイドツアーもやってましたよね?近郊の人々の参加状況はどうだったでしょう?

児玉 >愛知県の人?と言うと結構手が上がります。しかし、地元の人?と言っても殆ど手が上がらない。豊橋、蒲郡、豊川の人たちは少なかったと思います。ガイドツアーに参加していないだけなのか、会場へ来ていないとしたら課題ですね。
Q. >児玉君は、学生としてトリエンナーレ部会に参加したメンバーだったけれど、早い時期に会場コーディネーターとして採用されました。3年前、一般人としてトリエンナーレを鑑賞した時と、運営サイドになってみての違いはどうですか?
児玉 >会場が多くなり、全体として見所が増えたと思いました。
前回は観客として、作品を楽しむだけで良かったのですが、今回はスタッフとしてガイドツアーをしたので、お客さんにも楽しみ方が色々あることに大いに気づかされました。作品について少し説明をするだけでも反応が変わったりする。その思いがけない反応に、手応えを感じた事もありました。

また、展覧会の準備に関わることははじめての経験であったので、作品の搬入・設置のスケジュールの調整、展示経路の案内表示をどのように設置するのが有効なのか、関連イベントの告知を多くの来場者に伝わる方法についてなど・・・。鑑賞者としては当たり前だったことに、運営側は丁寧に時間をかけていることを実感しました。

展覧会の直前、あるアーティストから「作品は自分の子どものようなものなんです」と聞いた時は、運営側としての責任をより強く感じました。アーティストと過ごした時間のなかで、彼らの思いを直に聞くことができたのも新鮮な経験でした。

運営側はその規模に対して少数精鋭というか、皆さん一生懸命に取り組んでいます。外から見てるよりも、運営側に関われたことでかなり印象が変わりました。コミュニケーションの取り方や現代アートに関する知識など、まだまだ勉強することは多いです。次回までに自身も成長して、また新しい形で関われるようにしていきたいと思いました!

Q. >有難うございました。
児玉 真伍 Shingo Kodama
あいちトリエンナーレ2016 会場コーディネーター
1992年生まれ、蒲郡市在住。静岡文化芸術大学大学院文化政策研究科在籍。
Mikawa Art Center[MAC]を立ち上げ、三河地域で日常とアートが交流する場を創り出そうとしている。

2016年11月[interview:S.Hikosaka]

会期は終了しています。記録として掲載しています。





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